お花の上手な買い方

実は花言葉は意味がない?お花屋さんの本音

お花屋さんでお花選びの相談を聞いていると、多くの人が花言葉を気にしています。せっかく花言葉の様な贈り物に意味を持たせるフレームワークがあるなら、使いたくなるのは当然だと思います。

でも、お花屋さんの本音としては、「花言葉が意味がない」とまでは言いませんが、花言葉でお花を選ぶことにはオススメしていないんです。今回はその理由をわかりやすく書いていこうと思います。

花言葉の起原

まずは背景として、花言葉がどうやって誕生したかを知っておきましょう。

花言葉はトルコが発祥

ときは17世紀、今でいうトルコの首都イスタンブールから花言葉は誕生したと言われています。

当時のオスマントルコ帝国の後宮に住まう女性たちの間で、宮廷の外にいる想い人に花や果物などの小物に想いを込めて贈り物をする「セラム」という風習がありました。

これが今日の花言葉の発祥とされています。

現在のトルコ首都イスタンブール
花言葉がヨーロッパ中で大流行

「セラム」を面白い!と思ったイギリスのイスタンブール大使夫人だった、メアリー・W・モンタギュー夫人が、花言葉を1冊の本にまとめたことをきっかけに、花言葉の概念がヨーロッパ中に伝えられました。

そして花言葉がヨーロッパで流行するきっかけになったのが、シャルロット・ド・ラトゥールというフランス上流階級の人物です。 当時フランスの上流階級社会では、人を花に例えて詩を作って回覧するのが流行っていました。そんな世相を背景に、シャルロット・ド・ラトゥールが1819年頃に出版した『花言葉』 (Le Langage des Fleurs)は最初期の花言葉辞典として広く読まれることとなり、ヨーロッパ中で花言葉が流行することになりました。

日本に来たのは明治時代

明治時代に西洋から輸入された花言葉を紹介する本が出版され、日本にも花言葉の概念が普及する様になりました。初めは西洋の花言葉の意味をそのまま使っていましたが、だんだん日本固有の文化もMIXされ独自のものになっていきました。

この様に、いくつかの国の文化をまたいで今日の花言葉が出来上がっています。その背景もあってか、同じ花でも全く異なる意味の花言葉が付くことがしばしばあり、良い意味と悪い意味が混在しています。

矛盾する花言葉を持つお花達

花言葉は、そのお花の種についたものと、その中でも色ごとについたものが存在します。以下に紹介する代表的なお花には矛盾する花言葉がつけられています。

  1. バラ
  2. ダリア
  3. アジサイ

いい意味の花言葉で花を選んだのに、実は悪い意味もあった、、、」みたいなことになってしまうので、お花屋さんとしては、花言葉は考えずにお花を選ぶことをオススメしている訳です。

事例その1:バラ

バラの場合は以下の様な花言葉になっています。バラ全体では「」という花言葉があるのに対し、黄色いバラには「愛情の薄らぎ」という矛盾した花言葉がついています。

バラ全体 「愛」「美」
赤いバラ 「あなたを愛してます」「愛情」「美」「情熱」
ピンクのバラ 「しとやか」「上品」「感銘」
○白いバラ 「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」
黄色いバラ 「愛情の薄らぎ」「嫉妬」「友情」
青いバラ 「夢かなう」「不可能」「奇跡」「神の祝福」

なお、青いバラの花言葉は他のものと経緯が異なります。自然界には青いバラがなく、またバラには青の色素がないと言われていました。実現が不可能と考えられていたことからこの様な花言葉がついています。現在は青い色素を持つバラもありますが、紫っぽい色です。真っ青なバラを見ることがありますが、これは別途着色されたものです。

事例その2:ダリア

ダリアの場合は、種全体の花言葉に良い意味と悪い意味が混在しています。

ダリア全体 「感謝」「あふれる喜び」「気品」「栄華」
「移り気」「裏切り」「不安定」「威厳」
赤いダリア 「華麗」
黄色いダリア 「優美」「栄華」
○白いダリア 「感謝」「豊かな愛情」
青いダリア 「不可能」

バラ同様にダリアも青い種は存在しないため、「不可能」という花言葉がついています。逆に言えば、自然界にないのに花言葉がついてしまうあたり、バラにしてもダリアにしても青いお花をみんなが欲しがっているのかもしれませんね。

事例その3:アジサイ

アジサイは、成長と共に色が変わっていくことから、「移り気」や「浮気」という贈るのに躊躇する花言葉がついています。

アジサイ全体 「移り気」「浮気」「無常」
青いアジサイ 「辛抱強い愛情」
ピンクのアジサイ 「元気な女性」
○白いアジサイ 「寛容」

ピンクのアジサイには、「元気な女性」という花言葉があるので、母の日のギフトに入ることもあります。この場合は、種全体の悪い花言葉は気にしないということになりますね。

花言葉からギフトの定番になったお花

花言葉の意味がストレートすぎて定番と化したお花もあります。これらのお花は花言葉の枠を超えてそのイベントの定番になっているので、無条件に選んでしまっても問題ないでしょう。

赤いバラ

バラは種全体で「」という花言葉に対し、赤いバラには「あなたを愛してます」という花言葉がついています。情熱的な意味が両方に共通しているので、愛する女性に贈る花としては言わずと知れた定番でしょう。

赤いカーネーション

カーネーションは種全体で「無垢で深い愛」という花言葉に対し、赤いカーネーションは「母への愛」という花言葉。母の日のためにある様な花言葉なのでここまでは定番になったのは頷けますね。

ただ、あまりにも「THE お母さん」という印象が強いので、あえて赤いカーネーションを避ける方も結構いらっしゃいます。まだ小さなお子さんがお小遣いで赤いカーネーションを贈る分には可愛らしくて良いですね。

じゃあどうやって花を選べば良いの?

花言葉は気にせず、「相手が好きな花」「相手が好きな色」「贈りたいイメージ」をお花屋さんに伝えてお花を選んでもらうのがオススメです。

また、お花を貰う人からすれば、一生懸命選んでくれた花なら何だって嬉しいものです。花言葉に縛られて選択肢を狭めるよりも、綺麗な花を自由に選んで喜んで貰うのがお花屋さん的にはオススメです!

こちらの記事でお花の選び方をより細かく書いていますので、よろしければご覧になってください。
▶︎お花屋さん直伝!初心者でも失敗しないお花の買い方・選び方